
協会案内
会長ごあいさつ
一般社団法人日本鋼構造協会会長 藤野 陽三

明けましておめでとうございます。新しい年を迎えるにあたり、本年の抱負を述べさせていただきます。
新型コロナ感染症の拡大により、企業活動や生活様式が大きく変化しました。終息の見通しが立たたない中、様々な方面でウィズ/アフターコロナに適応するパラダイムシフトが加速しつつあります。当協会においても、当初は事業・行事の規模縮小や中止を余儀なくされましたが、従来のスタイルにとらわれず新たな試みにチャレンジしながら、協会活動の活性化に向けた取り組みを開始しました。
さて、2020年度からスタートした第9次中期3カ年計画は、総仕上げの年を迎えます。この中期計画では、第一の柱として、研究・開発や事業の新しいアイデアを創出する「企画機能の強化」を掲げました。鋼構造のあるべき姿を議論し、技術戦略を専門に検討・立案する「鋼構造未来戦略小委員会」を新たに設置して活動を展開中です。本年は、現状分析(アンケート調査、技術トレンド調査)を踏まえ、メガトレンドを読み解きながら未来の鋼構造のポジショニングを明確化し、技術戦略を提示してまいります。特に、カーボンニュートラルやDXという大きな変革のうねりは、我々にとっても閑却し得ない重要なテーマであり、その中で鋼構造の果たすべき役割を議論して行きます。
同時に、社会ニーズに直結した技術課題解決に向け、規格・基準類の制・改定、関係団体や会員企業からの共同研究・受託研究など、鋼構造のシンクタンク機能を活かした多岐にわたる調査研究活動を継続する所存です。
第二の柱は、「海外戦略の再構築と海外発信の加速」です。現在、海外展開を推進している関係団体や会員企業とともに、国際標準化をはじめとする共通の戦略的課題に取り組んでおります。特に、2020年度に受託した経済産業省事業「省エネルギー等国際標準開発」の中で、「高品質・高能率な溶接施工技術」をテーマとするISO提案活動に注力しております。狙いは、我が国の優れた鋼構造技術を世界に向け発信するためのプラットフォームを築くことです。昨年は、JSS規格の「建築鉄骨溶接部の機械的性質の標準試験マニュアル」を骨格とする提案内容を固め、米国や中国等の主要国との協議を開始しました。彼らの賛同を促すとともに、内容のブラッシュアップを行い、本年中をめどにISOへ提案する計画です。
第三の柱は、「鋼構造技術基盤の強化」です。2009年にスタートした鋼構造技術者育成講習会は、累計で2万8千名を超える技術者に参加頂き、会員企業から好評を博しております。また、土木鋼構造診断士と建築鉄骨品質管理機構を運営し、実務的な技術者資格として高い評価を頂いております。2020年はコロナ禍のため、やむなく育成講習会の座学の講義と資格試験の新規受験者の募集を中止しました。昨年は感染防止に細心の注意を払いながら、ウェブ環境活用等による新たな仕組みを導入し、これらの再開を果たすことができました。
技術標準委員会では、接合、耐火、防食、風など鋼構造の要素技術に関する技術伝承と人材育成を指向した研究活動を継続中です。鋼構造研究助成事業では、この17年間で91件が採択され、若手研究者の育成に貢献しています。
一方で、技術者の出会いや交流の場を提供するのも当協会の大事な使命です。現在、ウェブ開催が主流となっている委員会活動やシンポジウム等のありかたを引き続き慎重に検討してまいります。
新中期計画では、「情報化社会に対応した効率的協会運営と会員サービス向上」を目指し、本年中の供用開始を目標に、アーカイブ機能とストレージ機能を両輪とする協会ホームページのリニューアルに取り組んでおります。さらに、鋼構造論文集のステータス向上策の一環として、本年6月から購読料無料のオンラインジャーナルに移行することを決定しました。
本年は、これらの成果をもとに次期中期3ヵ年計画の策定に取り掛かり、鋼構造の輝きを持続させるための課題を抽出するとともに、あるべき姿を検討してまいります。会員の皆様、関係各界の皆様には、引き続き、協会活動へのご理解とご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(以上、年頭の挨拶より)
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